【開催報告】SDGsカフェ5「障がいのある人と おしゃべりしませんか」— 津久井やまゆり園事件から6年、障がい者は今 —

日 時:2022年12月3日(土) 14:00~16:00

会 場:ちがさき市民活動サポートセンター
    フリースペース大
参加者:46名

ゲストスピーカー:
上杉 桂子さん(NPO法人 湘南ふくしネットワークオンブズマン 理事)

<プログラム>

今回のカフェは、「誰一人取り残さない」社会の実現をめざしているSDGs、「障がい者週間」のある12月ということで、障がい者、特に知的にハンディのある方との関わりを皆さんと考えていく機会として、感染症対策に留意しながら対面開催しました。当日は、申し込まれた方全員が参加されるという盛況で、当事者の方々をゲストとしてお招きし、「エンパワ・サロン」の紹介や上杉さんのコメントを踏まえ、ゲストと参加者が6つのテーブルに分かれて、「おしゃべりタイム」として楽しくグループワークしていただきました。


 まずは、会場正面に席を設け、ゲスト3名と上杉さんとSネットの方と計5名で、Sネットで毎月催している「エンパワ・サロン」を10分ほど披露していただきました。いつもと違って大勢のお客さんを前に多少戸惑いながらも、上杉さんの分け隔てのない進行で、いつも通りの会話が展開される様子を参加者に体感してもらいました。上杉さんの「年末年始の予定は?」という振りに「何もない」と答えた方がいて、どっと笑いが起きました。

 続いて、上杉さんからは次のような話をしていただきました。

「ご覧のとおり障がいのある方とおしゃべりするのは、そんなに難しいことではなく、皆が対等に歓談しています。今、知的障がいのある人への支援のキーワードは「お友達」。6年前の津久井やまゆり園の事件後、当事者の意思を尊重して物事を決めていくには、という長年のテーマにムーブメントがありました。意思はその人の心の奥底にあるのではなく、人とのコミュニケーションの中から生まれてくるものだという指摘があります。家族や施設職員、職場の上司など利害や影響力のある人間関係、強い結び付きだけではなく、気軽に話し合える人間関係、友達のようなゆるやかな結び付きが重要で、そうした対等な人間関係の中で初めて本音を出せるようになり、その人の意思が形成されていくということが分かってきました。」

ここで、Sネットが神奈川県から受託している津久井やまゆり園利用者との関係性を構築していく事業「(通称)お友達プロジェクト」に参加している学生さんから次のような報告をいただきました。

「私たちは、利用者の方が好きなこと、関心があることに焦点をあてて会話することで、意思の形成や表出ができるような交流をめざしています。現在21名でメンバーを組み、コロナ禍以降は主にオンラインで交流しています。1年以上活動してきて、何気ない会話の中で相手の方が意思を表しているのが見えてきました。対等な関係、一緒に楽しい時間が共有できることが「友達」であり、利用者の方が私たちの話も聞いてくれて、この交流が学生の居場所にもなっていたことに気づきました。」


各テーブルでの「おしゃべりタイム」。話題としては、自己紹介の後、好きなこと・もの、趣味、仕事、休日の過ごし方等々、進行もお任せで40分程度自由に会話をしていただきました。こちらからは、分かりやすくゆっくりと、話を独占しないように、なごやかに楽しくとお願いしましたが、どのグループも会話が途切れることなく、にぎやか過ぎて声が聞き取りづらかったという感想もいただいたほどでした。終了後にグループごとに発表をお願いしなかったので、皆さん安心して?おしゃべりを満喫されたようです。

最後に全体会として、質疑応答の後、上杉さんからは、「私も長年経験を積んだので、こうして話ができる。皆さんもぜひ日常のこととしてこうした機会を増やして、当事者の方と接するのに慣れていってほしい」とまとめていただきました。ゲストの方々からも一言ずつ感想を伺ったところ、皆さん「楽しかった」とうれしそうに答えていただきました。


アンケート回答では、
「自然に対応すればいいことが分かった」
「自由に話せることができてよかった」
「もっと時間がほしかった」
「全員参加の意思のある人の熱気であふれていた。この出会いをつながりに発展できるとよい」
というような声もいただきました。

次回のSDGsカフェ(第6回)は、2月25日(土)に「地域の力が集まった『新しい交流の場』創りませんか~休耕田んぼの活用でみんなを笑顔に~」というテーマで開催します。詳しくは、こちらのページをご覧ください。