【開催報告】2023年度「ボランティア塾 in鶴嶺高校」

ボランティア塾 in 鶴嶺高校『探究の学習』
☆テーマ:平和/人権/福祉/SDGs/国際
◇日 時:2023年9月28日(木) 5・6校時
◇対 象:1年生 393名
◇第一部:全体授業
 <ゲスト> 菊池モアナさん(Borderless Tanzania Limited 代表取締役)

◇第二部:選択授業
 <市民活動団体/16団体>

ボランティア塾は、高校生の「知りたい」市民活動団体の「伝えたい」が出会い学ぶ機会です。今年度は 3 年ぶりで第一部・第二部と、通常通りに実施できました。

高校生自身が考える、意見を言う、話し合うなど、能動的に学べる時間を大切にしています。
進路を考える高校生にとって、生き方のヒントが見つかる授業をめざします。


<第一部>

菊池モアナさん 「私が人生で大切にしていること 後輩たちへ」
 ~ 自分らしい人生を歩むヒントになるお話

菊池モアナさんは現在28歳、1児の母で鶴嶺高校の卒業生です。高校生の時に東日本大震災ボランティアを体験し大学では国際関係学部で学びました。タンザニアで若年妊娠や途中退学が多いことを知り、その探究心から3年生の時にイギリスとタンザニアに留学。調査中に、若年妊娠により退学を強いられ貧困のループから抜け出せずにいたシングルマザーの少女に出会い「なぜそのような状況になっているのか」「何か出来ることはないか」と考えたことがその後の活動につながっています。

最初は彼女一人を援助することから始めましたが多くの人を支援するために海外での起業に挑戦。困難を乗り越えながら現在はタンザニアで生理用ナプキンの製造・販売する会社を経営し、若年シングルマザーが働く場所の提供とともに売り上げの一部で貧困層へナプキンの寄付や学校での性教育の活動も行っています。

モアナさんの明るく力強い「こんにちは」の第一声とスライドを交えての自己紹介、タンザニアの国や環境の紹介から始まりました。

◇「置かれた現状をどう読み取るか一歩ふみだす勇気」
・今やっていることの紹介
・タンザニアの若年妊娠の現状や背景
・社会問題を解決する方法

◇「気になるを突き詰めた人生について」
・中学時代のいじめ、東日本大震災ボランティア体験、ハワイ単独渡航、日本一周再発見の旅
・「トビ立て留学」を利用した海外留学、日本での出産とひとり子育て経験、海外での起業の苦労
紆余曲折の人生経験と圧倒される行動力を明るく屈託のない声のトーンで語るモアナさん。

「いつも意識していることは自分の声を聴くこと、『何でなの?』精神を持ち続けること」の言葉も生徒たちの心に響いたようです。

◇ 進路選択の方法について
▶おすすめワーク①②
▶トビタテ留学JAPANの紹介

最後は「自分を知ること、気になる!を突き詰めた人生を歩みましょう」と締めくくりました。

<第1部 生徒のふりかえり>生徒が何に興味を持ち共感し、参考になったのか、アンケートから主なキーワード別に集計しました。

① 興味、共感を持てた内容を教えてください 

  • 行動力がすごい(留学、海外での起業、女の子への支援活動 など)⇒ 65%
    「ボランティア活動から世界につながったことがすごい」
    「やってみることが大切」
    「チャレンジする姿勢」
    「貧困を解決したいと行動に移している」
    「目標を決めて達成している」
    「自分の好き、なぜ、気になることを追求する」
    「知りたいことややりたいことを突き詰めた人生」
  • タンザニアの現状・貧困 ⇒ 14%
    「タンザニアの宗教法律が厳しい・貧困問題は凄く深刻」
    「自分たちの当たり前がない国もある」
  • 若年妊娠したシングルマザーの大変さ ⇒ 13%
    「10代の3分の1が妊娠、妊娠したら学校に行けなくなる」
    「タンザニアの女子が置かれている環境が日本とは違いすぎていることに驚いた」
    「生理の貧困」

② あなたのこれからの行動や活動の参考になりましたか

  • 将来への考え方(行動、判断、勇気など)⇒ 65%
    「誰かのためになる仕事に就きたいと考えている」
    「モアナさんの話が後押しをしてくれた」 
  • 自分の進路選択 ⇒ 15%
    「留学に迷いがあったが、一歩踏み出そうと心を動かされた」
    「海外、ボランティアに興味を持った」
  • 自分を知ることの大切さ ⇒ 15%
    「自分の心の声に従って行動することはやりたいことをなすために大事な考え」
    「自分に正直になる」
  • 世界が違いすぎるスケールが大きすぎて、余り参考にならなかった ⇒ 5%

③ 感 想
「改めて行動力や実行力がすごい(見習いたい)」
「生き方が心に響いた、かっこいい」
「伝え方が上手、お話がわかりやすく面白かった 、楽しかった」
「自分も誰かの役に立ちたい、今の生活に感謝」
「男性への性教育も必要なのでは」

当日の暑かった体育館で真剣に聞き入る姿とアンケート結果が重なり、この授業が「生徒たちが進んで課題に取り組み、解決に向けて自ら学んでいく」きっかけ作りになっていると感じました。


<第二部>市民活動団体による授業

初参加3団体を含む16団体が、高校生へ直にそれぞれの授業を実施しました。

チームみつばちヒロシマを語る会-神奈川平和を考える茅ヶ崎市民の会実行委員会市民劇団オンリーワン/ 鶴が台名店街にみんなの居場所をつくる会/ 茅ヶ崎CAD部 / コミュニティナース茅ヶ崎 / 筆記通訳サークル「虹」/ NPO法人赤ちゃんからのアートフレンドシップ協会BENIRINGOふるさとファーマーズ わんにゃんマルシェ / やさしい日本語おしゃべり会 / 茅ヶ崎市国際交流協会ウクライナ交流グループ / サンチャイ・ネパールねぱるぱ(一社)アステム湘南スポーツソサエティ (参加16団体・掲載順)

生徒が選択するので各塾の参加人数は様々ですが、クイズやゲーム、グループワークを行うなど、短い時間の中での工夫を凝らした授業が行われました。また、静かな教室もあれば賑やかな教室もありといった様子で、各団体の思いが溢れた授業が展開されました。(以下、団体ごとの生徒ふりかえり抜粋を掲載)


<子ども甲状腺がんについて>
▶ チームみつばち

  • 被害にあった方々の気持ちをはじめて知り、学びたいと思いました。
  • 興味をひく内容ばかりで、聞いていて関心を持てた。
  • 今まであまり深堀りしたことのない内容だったので、初めて知ることが多くてとても興味深かった。また現状を変えていくために、自分はできることは何かを考え、行動にうつすことが大切だと思った。

 

原爆の実相を写真で学び、それを言葉で表現してみる
▶ ヒロシマを語る会~神奈川

  • 実際の写真を見て、自分が想像してたよりも何百倍も辛い現実があったんだと感じました。今、戦争を経験した人が減っていく中で、後世に伝えていく必要があると感じました。
  • 最後の朗読はとても気持ちがはいって感動しました。
  • 社会の授業でやった内容よりもっと深く知れた。

 

平和について伝える心が動く経験を!
▶ 平和を考える茅ヶ崎市民の会

  • 平和について考えるとても良い機会になった。これからも考えていきたい。
  • 私たちの世代は戦争についてあまり知らなかったり、平和が当たり前と感じている人は多いと思うため、このようなテーマについて考えることは大切だと思いました。
  • 紙芝居のやり方だけでなく、折り鶴のことや広島・長崎のこと、戦争について知る良い経験になりました。

 

デートDVを朗読で体験してみよう
▶ 市民劇団オンリーワン

  • すごくためになった。デートDVはだめ。未然に防ぐ。
  • デートDVがすごいこわいんだなと思った。歌をうたうのが楽しかった。大切なものは友だなと思った。
  • 朗読が楽しかった。自分も気をつけたい改めて感じた。

 

多世代交流の居場所でボランティアをやってみよう
▶ 鶴が台名店街に地域の居場所をつくる会

  • 人の役に立つことはとても素敵だと思った。
  • 興味がわいたのは、みんなでカレーを食べたり勉強を教えたりすることです。
  • とても楽しくて、心が本当にほっこりして、今度行きたいと思えた。本当に素敵な時間でした。

 

「3Dプリンターと自助具」~できないことをできるに~
▶ 茅ヶ崎CAD部

  • みんなの将来やりたいことに3Dプリンターがどのように関わっているのか細かく教えてもらえてよかった。
  • 3Dプリンターで作ったものが高齢者の役に立っていることにおどろきました。
  • 将来のこと、世界のことと関連させた話の内容で、3Dプリンター以外のことも考えられるチャンスだった。

 

「楽しい!嬉しい!」から始まるボランティア
▶ コミュニティナース茅ヶ崎

  • 最初はボッチャ、折り紙はナースに関係あるのかと思ったけれど「つぶやき」が大事だと聞いて、いろいろ考えているんだなあと思った。
  • 今回のような活動を通して地域の人の相談相手になるというのを聞いて、とてもいい活動だと思った。
  • 取り組んでいることを実際に体験して、楽しくボランティア活動できるのは本当に良いなと思いました。ボッチャを初めてやったのですが、難しい部分もあり、できるととても嬉しく楽しかったです。良い経験になりました。

 

「要約筆記」を知ろう!
▶ 筆記通訳サークル「虹」

  • 聴覚障害の方にこのような支援があるのだなと知ることができました。将来人を助ける仕事をしたいと思っているので、様々なボランティアを要約筆記を含めやってみたいと思いました。
  • 自分が書くことで筆記通訳の大変さとおもしろい経験ができた。
  • あまり知らなくて、人ごとに思っていたところがあるのですが、自分事として考えることができました。

 

子どもの健やかな育ちのための活動・保護者への手助け
▶ NPO法人赤ちゃんからのアートフレンドシップ

  • 人によって絵をかくということだけでも色々な表し方があって色使いなどが変わるのが面白いと思った。
  • 話を聞いただけなのに、この活動に興味を持つことができました。時間があればボランティアをしたいと思いました。
  • アートでも小さい子と大人でつながれるんだなと感じた。

 

BENIRINGOと一緒に考えよう!自然のこと、環境のこと
▶ BENIRINGO

  • グループワークがたくさんあり、楽しみながら自分ができる脱炭素の行動がわかり、とても楽しかったです。
  • 地球温暖化を防ぐために何ができるのかを考えるのが面白かった。
  • グループワークで仲も深まり、とても良い授業でした。

 

地球を再生させる、環境にやさしい畑
▶ ふるさとファーマーズ

  • 自然や農業に興味があったからとてもおもしろかった。
  • 自分の体験談を問いかけとまぜながら話してくれてとても楽しく、農業だけでなく、仕事というもの自体を教えてもらった。クイズがおもしろかった。
  • 野菜のことだけでなく、仕事を何のためにするのかなど聞くことができて良かったです。

 

いのちの教室~動物たちの共生から住みやすい地域づくりを考える
▶ わんにゃんマルシェ

  • 保護活動という大変な活動をされている方が沢山いることを知りとても驚いたし、高校生でもボランティア活動に参加していることにもおどろいて素晴らしいと思いました。
  • 改めて動物を飼うことの責任について考えることができて良かった。私も命を大切にしながら生きていきたいし、何かしてあげたいと思った。
  • 犬、猫、他の動物が、今も沢山保護団体にいっていると思うと悲しく思った。今後自分にできる活動をやってみたいと思った。

 

やさし日本語で外国人と話そう~日本でできる国際交流
▶ やさしい日本語おしゃべり会

  • とても楽しかったです。外国人=英語というイメージがあったので新鮮でした。
  • 外国人の方に対しても、日本の方に対しても、やさしい対応をすることが大切だと気づいたので、そのことを大切にし、今後の自分の行動にうつしていこうと思います。言葉の大切さにきづかせていただきありがとうございました。
  • 伝わるようにわかりやすい日本語を使うのが難しいなと思いました。ですが、そこに興味をひかれました。

 

「好き」の先にあったもの
▶ IAC ウクライナ交流グループ

  • 今回貴重な国際交流のお話を聞くことができ、「好き」という気持ちを大切に何事も取り組んでいきたいと思いました。
  • 海外の人に対しての偏見や文化の違いなど、生まれそだった環境がちがうだけで考えが変わってくるんだと思った。そして日本が「変」と思うことも海外ではふつうで、逆に日本が「変」と思われることもあると気づいた。
  • 自分も外国の方に自分から話しかけることに抵抗があり、共感しました

 

ゲームにより世界情勢の擬似体験をし、国際支援について考える
▶ サンチャイ・ネパール ねぱるぱ

  • ゲームに世界のお話まで興味をひくものが多く、聞いていて「なるほど」と興味深かったし参加してよかったと思った。
  • クラスのちがう人と関われて、ゲーム感覚で貿易の仕組みを知れた。
  • 世界の情勢をゲームを通して学べておもしろかったし、ネパールでの活動の話は自分の世界が活動の話は自分の世界が広がる興味深いものだった。

 

スポーツボランティア
▶ 社団法人アステム湘南スポーツソサエティ

  • スポーツボランティアの話の中でけがについて、テーピングの巻き方など、これからの部活動でも活かせそうで興味を持った。
  • スポーツボランティアとは何か知らなかったけれど、部活のマネージャーなど身近なところにもいるのはとても驚きました。
  • 自分が知らないことが思っていたよりもたくさんあって驚いた。

 

 


<参加団体のふりかえり>

12月9日(土)@ちがさき市民活動サポートセンター
参加:7団体(12名)

参加各団体は活動等でお忙しく、一堂に会することはできませんでしたが、その場に集まった方たちからボランティア塾当日の感想を話していただきました。その後グループに分かれて「団体や活動を知ってもらうには!参加してもらうには⁉」「学校での体験型授業へのアイデア」を話し合いました。

これまで互いに知らない人同士による交流会でしたが、思いのほか盛り上がって直接顔を突き合わせて行う、コミュニケーションの大切さを痛感した会でした。