【開催報告】まちの未来を考える「茅ヶ崎ミライトーク」5年・10年先のまちづくりを想い描いてみよう

日 時:2024年2月25日(日)14:00~16:00
会 場:ちがさき市民活動サポートセンター フリースペース大
参加者:57名(プレゼン団体、一般参加者、行政職員、手話通訳者、サポセンスタッフ含む)

市長・副市長と市民活動団体が、5年後・10年後の輝く未来に向けて、まちづくりへの思いを語り合う対話イベントを開催。


昨年2月に開催したNPO講座「パートナーシップでまちづくり~知っておきたい行政のしくみ」では、「茅ヶ崎市実施計画」や協働の進め方について学んだ参加団体から、今後も継続して行政との意見交換の場を設けて欲しいという声が多く聞かれました。

そこで今回は「茅ヶ崎市総合計画」をもとに、市が目指すまちづくりのビジョンについて理解を深めるとともに、市民活動団体のプレゼンを通して「市民活動の今」を知り、顔の見える関係づくりや連携のきっかけにつながるように、対話を通じた学び合いの講座を実施しました。

プログラム

  • 「茅ヶ崎市総合計画」ミニレクチャー
     (講師:企画制作部総合政策課 須藤高史さん)
  • 事前申込10団体による活動紹介と「市と連携したい」提案の3分間プレゼン
     ~ 塩崎副市長、岸副市長から各団体へのひとことコメント
  • プレゼン団体の感想共有と一般参加者質疑応答



以下、プレゼン10団体の「テーマ」と提案内容です。

  1. Familio「茅ヶ崎における若者ボランティアの役割」

    今の子どもたちはコロナ禍で体験の機会が減少。中学生時代から様々なボランティアに参加し人と交流することの楽しさを体験してきた自分たちが、大学生になった今だからこそできる活動があるのではないかと思い団体を設立した。中高生を対象とした勉強・おしゃべりのできる居心地のよいスペースの提供、小学生向けイベント企画、地域のイベント参加やボランティアとしてのお手伝いなどの活動をしている。ボランティア活動の魅力を子どもたちや同世代の若者にたくさん感じてもらいたい。市には自分たちのような学生集団をたくさん頼ってもらいたい。

  2. ママほぐ「① 産後お母さんのメンタルヘルスケアと繋ぎ先 ② 産後ケアの拡充」

    子育てをしているお母さんへ、居場所づくりと産後の専門家と繋がれる場を通して弧育てをなくすこと、安心して子育てができる町になることを目的に活動をしている。産後のメンタルサポートについては、専門家の介入が必要なお母さんに対して連携して見守っていく体制を作ることが重要であると感じている。また2021年に始まった「産後ケア事業」についてはさらなる充実(受入先の確保増等)が必要。予約がとりづらいという現状、委託料の低さから産後ケアの担い手が増えないという助産院の声も聞いてもらえるとありがたい。

  3. ふるさとファーマーズ「農を通して茅ヶ崎の豊かな自然環境を次世代に」

    自然環境や食生活の大切さについて伝えていきたいという思いから、茅ヶ崎里山公園近くにある畑で不耕起栽培という方法で野菜づくりを行うなどの活動をしている。茅ヶ崎は海側のイメージだが、北側にも豊かな里山があって、秋の稲穂の富士山はすごく綺麗。ただ不法投棄が横行しており原状回復するために里山クリーン活動をしているが、市で貸出してもらえるトングの数がもう少しあるとありがたい。茅ヶ崎の魅力である豊かな自然環境を次世代に残していく、そんなリーディングシティとして市民と行政が一丸となって取り組んでいけたらと思う。

  4. NPO法人セカンドワーク協会「茅ヶ崎におけるデジタル推進活動」

    市民活動団体やまちぢから協議会のホームページ制作・運営支援をしている。今回の提案は茅ヶ崎におけるデジタル推進活動について。市では「地域社会のデジタル化」「行政内部のデジタル化」「安全・安心なデジタル化」の3つの方針を掲げているが、デジタル社会の利便性を誰一人取り残されず享受できる環境を作っていくために、IT教育が得意な NPO法人パソコンボランティア湘南や社会貢献モチベーションの高い市民の方も巻き込んで、デジタル推進連絡会を作り成果を出していきたい。国の施策である「デジタル推進委員」の活躍の場にもなる。

  5. 一般社団法人リトルハブホーム「こどもまんなか実現の茅ヶ崎」

    小さな拠点が広まり街全体が一つのホームにというコンセプトで、東海岸にある古民家で「おばあちゃんちの縁側」をやっている。児童養護施設の子どもたちが分離される前に安心する場所があるとよい。1年半ほど活動をしているが、茅ヶ崎でも児童虐待相談件数は増えており、貧困や低年齢層の課題を抱えた子どもたちが地域の中で見過ごされている。見守る存在の不在にも危機感を感じている。子どもたちが希望を持ち、可能性を感じられる「こどもまんなか」の茅ヶ崎であるために、行政と民間が一緒になって課題解決の方法を探る情報共有の場を持ちたい。

  6. NPO法人ワーコレたんぽぽひろば「不登校の親子のための居場所」

    香川の一軒家を借りて「たんぽぽハウス」という地域の居場所を運営。小学生のフリースペース、お母さんたちのおしゃべり場、預かり保育、季節のイベントなどの他に、「たんぽぽカフェ不登校を考えよう」を毎月開催。不安になり孤立してしまいがちなお母さんたちが思いを共有し安心して話せる場が必要と感じて始めた。今回、同様の活動をしている3団体でネットワークを作り「不登校の親子のための居場所」リーフレットを作成。小さな SOSを見逃すことなく、必要な人へ情報提供し、市や学校、地域と連携して情報共有や情報交換の場を作っていきたい。

  7. Pukana La[=]MARKET「凸凹あっても共に過ごそう!共生社会を実現させるために必要なこと」

    障がいのある子どもの将来を考えた時に、地域を知らないということは生きづらさにつながる、もっと地域と繋がりたいという思いから、障がいがあってもなくても共に過ごす時間を共有できる「凸凹マーケット」を開催。小さい頃から共に過ごすことで、自然と互いの個性を理解し、互いの存在の大切さを知り尊重し合える関係を築くことができるようになる。市には、少数派の要望や意見、思いはなかなか届かないと感じる。障がい者は弱者と捉えられがちだが、当たり前に一人の人間として地域で過ごせるよう共生社会の実現に向けた取り組みをお願いしたい。
    ※現在、団体名が新しく「凸凹(でこぼこ)を組み合わせ隊」になりました。

  8. 茅ヶ崎CAD部「3Dプリンターで地域課題を解決」

    主に3Dプリンターを活用して、生活に合ったモノを創造する、モノ作りを通してコミュニケーションを取りながら楽しさを共有する活動をしている。今回は「未来」の話なので茅ヶ崎市と茅ヶ崎CAD部との連携についてAIに尋ねてみたところ、市民の利便性向上につながる、すぐに実現できそうな具体的なアイデアを得るのは難しかった。そこで、市役所の中に3Dプリンターをちょっと置いてみませんか、ということを提案したい。若い職員たちが、どんなモノを作ることができてどんなことができるのか、想像を膨らませられる環境づくりをサポートできる。

  9. NPO法人キーパーソン21 チーム湘南「キャリア教育を軸にしたまちづくり」

    「夢!自分!発見プログラム」という独自プログラムで、子どもたち誰もが持っているワクワクエンジン(ワクワクして動き出さずにいられない原動力)を丁寧に引き出し、認め伴走する活動をしている。昨年は市内の小学校で実施。アンケートからも、自己肯定感が上がり希望を感じる子が増え、気づきを得て前向きになったという声がたくさん届いた。コミュニティ・スクールの取り組みが始まっているが、企業や地域住民も巻き込み、どんな形で連携できるか考えるところから一緒に協力できるとよい。キャリア教育を軸としたまちづくりを一緒に考えていきたい。

  10. 神奈川県立 茅ケ崎支援学校 共生社会推進チーム 「共生社会の実現」

    開校して25年。将来の自立と社会参加に向けて毎日生き生きと過ごしている。地域とともにある学校づくりを目指して様々な活動をしているが、今回お願いが2点。ひとつは地域における教育資源開拓への協力。地域の特色ある場所やイベント、人材を教えてほしい。凧作りや味噌作り体験、近隣施設の清掃など行なった。ふたつ目は校内実習における受注作業の紹介。働く力をつけるために軽作業を募集している。自分たちも地域に出て情報を発信していく。障害があってもなくても、誰にとっても過ごしやすい茅ヶ崎市版共生社会を一緒に作っていきたい。


「げんき基金」の補助を受けながら活動する団体、子ども・子育て支援分野で課題解決に取り組む学生・現役世代の参加が多くありました。3分間にぎゅっと濃縮されたプレゼンに対して、塩崎副市長、岸副市長からは、団体ごとに丁寧であたたかな、時にユーモア溢れる応援コメントをいただきました。


プレゼン終了後に、発表団体から感想をいただきました。

  • 私たちワカモノ世代がちゃんと生きられる社会を残してほしい。そういうところも政策にいれてほしい。
  • これから未来の茅ヶ崎を生きる当事者として自分に何ができるか考えるきっかけになった。
  • 今日をきっかけに本当に小さなことで実現できることを模索して形にできたらと思う。
  • すごく意欲的に活動している団体がたくさんあることに改めて気づかされた。
  • パワーポイントや映像で伝えることのインパクト、重要性がよく分かって勉強になった。
  • こんなダイレクトに市長さんに意見を伝えられる機会は貴重。今後も作ってもらえたら。
  • こういう近い距離で顔の見える形でイベントが開かれたことはすごく大事なことだと思う。

一般参加者からは活動を通して感じている課題や切実な思いが語られました。

最後に、くらし安心部寺島部長からは「連携協力の可能性を広げるためには職員一人一人がみなさんのような活動を知る必要がある、今日のことは庁内で共有したい」とのメッセージをいただきました。

また、佐藤市長からは具体的な連携アイデアも交えながら「このような機会を通して市は接着剤の役割を果たしたい、また参加したい」と力強いお言葉もいただきました。


冷たい雨が降るあいにくのお天気でしたが会場のサポセンフリースペース大は満員御礼。終了後も会場内は熱気に包まれ、あちこちで交流の輪が広がり、余韻の残るイベントとなりました。

市と市民がともに力をあわせて一緒に取り組めることは何か、どんなことで連携・協力できるのか、未来志向の対話をしながら、それぞれの立場で、これからなすべきことのヒントを見つけられたのではないかと思います。そして、未来を生きる若者たちのために何ができるのか、市民、行政が一緒になって考え語りあい、連携・協働のきっかけとなるような機会をこれからもつくっていきたいと思います。


【参加者アンケートより(一部抜粋)】

  • 子ども、教育関係のNPOがたくさん発表していて、つながると何かができそうだと感じた。まずは市の方にも知って頂けたところで、次にもう少し対話の時間を作っていけば、具体的に連携して子どもを中心に活力あるまちづくりができそうだと感じた。
  • それぞれが素晴らしい内容だった。特にワカモノの活動ぶりが印象的だった。
  • 行政と団体のコミュニケーションの場、これはかなり大事。課題の声を直接発信することで、ネットよりも大きな力となりうる。
  • 様々な市民活動団体の取り組みを聞けて良かった。また、市長や副市長を身近に感じる事ができた。
  • 市長さんのメッセージにもとても温かさと意気込みを感じ、頼もしく思った。
  • 行政との意見交換会であれば、行政側も参加の公平性を考えるべき。
  • 行政と話す機会が、小さな団体ほど持ちにくく、担当課と繋がれても、そこから何か発展することが難しいとこの数年で感じていた。そこに一石を投じる、サポセンさんのこの講座は、市民団体の希望。次に繋がる会だと思った。
  • 市長との対話はとても有効的だと思う。ミライトークvol.2もぜひお願いしたい。プレゼンしたい他団体もたくさんいると思う。
  • 分野別に開催希望。