【開催報告】SDGsカフェ第1回 キックオフ「みんなで創る 誰一人取り残さない 社会」

本年度、新たに企画した事業「SDGsカフェ」の第1回 キックオフ「みんなで創る 誰一人取り残さない 社会」を開催。講師から「SDGsの基礎知識とキーワード(バックキャスティングなど)、及びSDGs推進に向けた各地の取り組み」について学んだ後、グループワークを通じて多様な主体が「協働」して様々な地域課題を解決するための実践的な知恵を探り、参加者全体で共有しました。

▶開催日時:2021年10月24日(日) 14:00 ~ 16:30
▶開催方式:オンライン(ZOOM利用)
▶参 加 者 :24名
▶講  師:高木超さん(慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 特任助教)

講師:高木超(こすも)さんとSDGs17のゴール


【講演概要】

  • SDGsの基礎知識
    ・SDGsとは、世界中が共通して取り組む目標で、達成期限は2030年。17目標、169ターゲット、231(重複を除く)の指標があります。
    ・持続可能な世界を2030年までに実現するには、現状の取り組みに満足せず、社会を大胆に変革すること、すなわち「Transforming=まるっと変える」ことが重要です。
    ・例えば、このままだと、2050年には、海洋プラスチックの量が魚の量を超過すると言われています。2021年1月時点で、全国1,724市町村のうち1市町村(京都府亀岡市)は、プラスチック製レジ袋を禁止する条例を施行しています。
    ・「ペットボトルを使うのをやめよう」は「エコ」な取り組みですが、 SDGsには、ペットボトルを作る人も「取り残さない」という総合的な視点が必要です。最近では、サーキュラー・エコノミー(循環型経済)という考え方が提唱され、徳島県上勝町では、できる限り廃棄されるゴミを出さない仕組みをつくるため、民間会社と連携して上勝町ゼロ・ウェイストセンターを運営しています。
    ・また、石川県金沢市では、金沢市役所、(公財)金沢青年会議所、国連大学サステナビリティ高等研究所いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニットの3者が連携して、「SDGsカフェ」の開催を含む様々な事業に取り組んでいます。
    ・神奈川県川崎市では、市役所、川崎信用金庫、川崎商工会議所、川崎青年会議所、川崎市産業振興財団、かわさき市民活動センター、川崎市地球温暖化防止活動推進センターが連携して、「川崎市SDGsプラットフォーム」をつくり、SDGsの認証制度や各種の勉強会を開催しています。

  • SDGsの特徴―インターリンケージ(相互連携)
    ・SDGsのゴール・ターゲット同士のつながりを考えることが重要です。
     例えば、道路を建設してインフラを整備する(SDGsのターゲット9.1「経済発展や人間の福祉を支援するインフラの開発」)を例に考えてみましょう。
    ・インフラの整備により、公共交通機関が開通すれば、交通不便地域という課題(ターゲット11.2「全ての人々に安心かつ安価な輸送システムへのアクセスを提供する」)が解消されます。
     さらに、公共交通機関が開通すれば、金融機関の支店が開設する等商業が賑わう(ターゲット8.3「金融サービスへのアクセスが改善し、中小企業の設立や成長を奨励」)につながる可能性があります。
    ・一方、道路建設に際して森林を伐採することで、森林が備える治水機能が低下し(ターゲット15.2「森林減少の阻止」)、水害などの自然災害が発生する危険性があります。
     この場合、道路インフラ整備(ターゲット9.1)と森林減少の阻止(ターゲット15.2)は、トレードオフの関係にあります。

  • SDGsの特徴―バックキャスティング
    ・バックキャスティングとは、目標から逆算して、達成に必要なことは何かを検討する方法です。
     これまでの常識を見直し、イノベーションを活用して解決策を考えたりしながら、目標を達成できる戦略を考えることが重要です。
    ・目標の設定については、びっくりするような高い目標(=ムーンショット目標)を設定するとよいでしょう。
     高すぎる目標を置くことで、これまで団体が単独でしていた取り組みを、行政等と連携して実施しようという発想が出てくる可能性があるからです。
    ・バックキャスティングを活用することで、圧倒的に高い目標を設定し、これまでの取り組みの延長線上では想像もできなかったアプローチを検討することができるようになります。

  • 身近にあるSDGs
    ・ユニセフは「感染症の予防に手洗いが有効だとしても、世界で約30億人は、水と石けんで手を洗う設備が自宅にない。」という現状を報告しています。
     この数字を見たとき、私たちは「遠い世界のこと」と思いがちではないでしょうか。
    ・「災害が起きた際に安全な水は欠かせないが、基幹的な水道管のうち、耐震性のある管路の割合は、全国平均で 40.3% にとどまる」という数字があります。
     例えば、茅ヶ崎市内で、耐震性のある管路の割合をどう高めるかという「問い」を掲げることで、安全な水の確保というテーマが、ずっと身近に感じられるのではないでしょうか。
    ・次に、すでに取り組んでいる実践をSDGsと関連づけることも重要だと思います。
     例えば、電気を大切に使うは、目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」に関連し、ごみを分別してリサイクルするは、目標12「つくる責任 つかう責任」と関連します。
     また、マイボトルを日常的に使うは、目標12「つくる責任 つかう責任」と目標14「海のゆたかさを守ろう」に関連しています。

  • 団体・個人でのSDGsの活用方法
    ・団体や個人でSDGsを活用する際には、整理、点検、共有という3つの機能からSDGsの使い方を考えるとよいでしょう。
    ・まずは、皆さんの団体の活動を、SDGsの枠組みで整理してみてください。
    ・次は、SDGsの目標を使って、自らの活動を点検しましょうという提案です。
     現在紐づいているSDGsの目標以外に、他の目標との関連はないのか。絶えず点検して、現在の取り組みをアップデートすることが必要です。
    ・最後に、「工夫する」の具体的な事例を紹介します。
     タバコのポイ捨てを禁止するために、どのような方法があるでしょうか。
     ポイ捨て条例を制定するという方法もあるしょうし、クイズを使うという方法もあるでしょう。


【ワークショップ概要】

  • 前半のワークショップ
    最初は、個人作業。ワークシート1に、自己紹介、講義からの気づき、講師への質問の3点を記入しました。
    その後のグルーワーク(ブレイクアウトルーム機能を利用して小グループに分かれる)では、メンバー内の自己紹介をしたうえで、ワークシート1の内容を共有しました。
    次に、グループワークの結果を、全体会の中でグループ毎に発表していただき、講師から質問の回答をしていただきました。
  • 後半のワークショップ
    まずは、個人作業。ワークシート2に、自身の実践の内容、今後取り組んでみたいこと、今後、他の団体と連携して取り組んでみたいことを記入。
    その後のグルーワーク(ブレイクアウトセッション)では、ワークシート2の内容を共有しました。
    次に、グループワークの結果を、全体会の中でグループ毎に発表。
    個人レベルで実践している地球環境を守るアクションの他、地域や組織で取り組んでいる活動事例について情報交換しました。
    「同じように活動している人たち同士でつながっていきたい」
    「課題解決に向けて、もっといろいろなレイヤーで協力していくことが必要」
    「行政と一緒に市民向け啓発活動をしていきたい」など、
    パートナーシップの重要性を意識した様々なアイデアが出されました。最後に、講師から総括コメントをいただきました。

< アンケート >(抜粋)

  • 高木さんのお話はとても良かったと思います。個人的には、著書を拝見していたので良い復習になりました。
    グループワークも、市外の方とご一緒だったので、良い刺激になりました。
  • SDGsへの理解が深まった。ワークショップも、いろんな方の考え方を伺えて、大変刺激になった。
    (もう少し、いろいろとお話しする時間があればなおよかった。)
  • 大変有意義でした。進行なども素晴らしさを感じました。ご苦労様でした。
  • いろいろな機関、団体、企業等とSDGsをテーマに意見交換する場として有効である。
  • 体系的に講義を聞けたことで、整理ができた。今後自身で取り組めること、企業として取り組めること、うまく整理する機会とできた。ありがとうございました。
  • 殆どの方が団体の代表の立場で参加していると思われる。また、真剣に活動している様子もうかがえて参考になった。
  • 講義:SGDs。個人的に「言葉の意味は分かるけど、理解できない?」的な感じがしていましたが、「すっげぇ、でっけぇ、ゴール」のように伝えていただくことで、腑に落ちてきた感がありました。