特定非営利活動法人 湘南ふくしネットワークオンブズマン(通称:Sネット)
《事務局長の江崎康子さん他にお話を伺いました》
湘南エリアに権利擁護の仕組みを
1990年代障がい者への虐待が社会問題となり、湘南エリアの福祉施設長等有志が集まり、権利擁護のための研究を進めていく中で、北欧発祥の市民の権利擁護の有効な手法として、福祉オンブズマン制度に注目しました。それは、福祉サービス利用者の苦情や要望を受け止め、その声を代弁し関係者に働きかけていくというものです。その実践のために1997年、8施設による任意団体「湘南ふくしネットワーク」が発足しました。
オンブズマンには、研究を共同した福祉教育者の高山直樹氏、弁護士等6名が就任。その後、市民こそ担い手に、ということで地域の方々も加わり、江崎さんもその一人として2000年に就任しました。2001年には、オンブズマンとしてより主体的に活動するために、施設側から独立し、NPO法人となりました。
本格的に市民の成年後見を支援へ
一方、高齢や障がいにより判断能力が不十分な人の財産管理や法律行為を行う成年後見が2000年に制度化されました。制度では法律や福祉の専門家等の個人の他、法人としても後見が可能であり、2003年からSネットとして後見業務を行っています。
こうした流れの中で、手続が難しいといわれる成年後見のさらなる利用につながるような相談窓口の必要性が見えてきました。そこで、茅ヶ崎市の市民提案型協働推進事業に手を挙げて2008年に始めたのが、成年後見支援センター事業です。3年後には市の委託事業となり、以降12年間「市民による市民のためのセンター」を掲げ、コロナ禍中も休まず、月・水・金にSネットの事務所内で開所してきました。
そして、この4月からは、市役所の分庁舎内に移転し、茅ヶ崎市が運営する成年後見支援センターとしてリニューアルしました。長年の実績とノウハウのあるSネットは、引き続きその一員として、相談や手続のお手伝いに関わっていくことになりました。
オンブズマンは利用者に寄り添って
ところで、Sネット設立当初からの主要事業であるオンブズマン活動は、実際にどのように行われているのでしょうか。現在契約先の施設等は30か所を超え、標準的には、月1回、複数のオンブズマンで施設を訪問し、直接利用者の方にお会いし、お話を伺ったり活動を共にしながら「想い」を聴き取り、その想いを施設に伝えます。利用者の立場に「立ち切って」代弁することをモットーとしていますが、自分で想いを伝える「セルフアドボカシー」も大事にしています。
そして、月1回オンブズマンが集まり、活動報告をして課題を共有しています。問題が深刻であれば、施設に対し意見書等を提出して、改善を促す場合もあります。
障がい者の意思決定支援を
7年前、悲惨な殺傷事件のあった津久井やまゆり園。入所していた方々の意思を確認していく中、意思は人間関係の中で形成されていくもので、対等に関われる友人・知人を増やしていくことの重要性が明らかになってきました。Sネットでは、2019年から今春まで県から通称「お友達プロジェクト」を受託、大学生等が日常的に交流し、対話しながら、当事者の方々の意思を引き出せるような関わりに努めてきました。
この4か年で30名ほどの若い方々が参加、活動を広めるためのマニュアルも作成しました。
上記に先立ち、2017年からは、障がい者の方々の居場所として、皆が対等な関係で茶話会のような時間を過ごす「エンパワサロン」を月1回開催しています。
今年は、Sネットにとって節目の年になりました。4月に成年後見支援センターのリニューアル(前述)、6月には事務所も、北口の繁華街の一角から1キロ余り北上した住宅地に移転しました(下欄参照)。スタッフの皆さんも気分一新、市民の権利を守り、地域に一層根ざしていくための新たな事業展開を期待しています。
Sネットの事務所の移転先です。
住所:253-0002 茅ヶ崎市高田5-3-11ジュネスナカダ2-208
電話・FAX:0467-81-7660(番号も変わりました!)