特定非営利活動法人 わの会
特定非営利活動法人 わの会
茅ヶ崎市や寒川町在住の精神障がい・知的障がいのある方々を対象に、NPO法人として2か所の事業所「茅ヶ崎ワーキングハウス」「茅ヶ崎第二ワーキングハウス」を運営。地域の一員として豊かに暮らしていくために、作業支援や生活支援をはじめ、社会参加活動や余暇活動を行っています。
《代表の松本 正さん他にお話をうかがいました》
サポートセンターの朝
私たちスタッフは、サポセンに午前9時までに出勤しますが、実はそれより前に出勤している人がいます。それが、サポセンの清掃を受託している「茅ヶ崎ワーキングハウス」のメンバーさん(利用者)です。
その清掃作業ですが、素早く作業着に着替え、まずは館内のすべての窓開けから始めます。それから、いよいよメインの男子・女子・多目的の3か所のトイレ清掃、そして約300㎡の館内の床清掃に取り掛かります。トイレは便器、便座、手すり、洗面台ごとに用具と洗剤を使い分け丁寧に作業を進めます。床はほうきでちりを集めてから、固く絞ったモップで拭き上げます。最後に片付けや用具類を洗って、1時間ほどで終わらせます。
ベテランのIさんは、「月1回の休館日に行う床の本格清掃で、ワックスがむらなく塗れた時は嬉しい」、いつも朗らかなOさんは、「日々作業の段取りを工夫しており、スタッフからのお礼も励みになる」、1年目のAさんは、「清掃の仕方を先輩が分かりやすく教えてくれて、よく覚えられた」などと話してくれました。
清掃の仕事は、サポセン以外にも老人ホームや市の公共施設、マンションなどでも請け負っています。残念ながら、感染対策の関係で現地取材はできませんでしたが、各施設のルールや状況に応じて皆さんが地道に作業をされている姿が目に浮かびます。
第二ハウスでは黙々と
冬晴れのとある日の午後、一中通りから少し入った住宅地にある「茅ヶ崎第二ワーキングハウス」にお邪魔しました。ここは二階建ての民家を使用しており、各部屋ほぼ数名ずつ、メンバーさんたちに職員も混じって、和やかな雰囲気の中、
手際よく広告チラシの折込作業を行っていました。何種類ものチラシが大量にあるので、「大変そうですね」と尋ねると「そんなに大変じゃないですよ」と頼もしい答えが返ってきました。
こちらでは、この他にも近隣へのチラシ等のポスティングやメール便の配達、ボールペン等の袋詰め、レンタルCDケースのシールはがしなど様々な作業を受注しています。
「輪」と「和」を大切にして
松本さんは、理事長に就任されて3年とのことで、前任で長らく代表をされた吉川さんにも団体のいきさつ等を聞いていただきました。昭和の末頃に障がい児の親御さん3組が家に集まって支援活動を始められたのが発端で、徐々に人数も活動日数も増え、福祉会館の利用を経て、民家を借り上げることになりました。当初は1つの事業所でしたが、折しも、その頃制度化された国の支援費の支給を受け、2003年に人の「輪」や平和の「和」から「わの会」としてNPO法人を設立、活動内容により事業所を2つに分けました。現在では各20数名ほどの利用者が登録しています。
コロナ禍の今、懸案としてはまず、作品展や共同募金などの社会参加活動や、食事会や旅行会などの余暇活動が中止となり、利用者同士の交流、親睦が図れなくなったことです。法人設立20周年となる来年3月には、何とか記念行事をできれば、と考えています。
また、制度上2つの事業所は、就労継続支援B型という位置付けで、利用者への最低賃金の保証はありませんが、特に、第二ハウスでの請負作業の収益は決して高いものとはいえず、それを各利用者に工賃として分配すると…推して知るべしの状況です。
そこで、松本さんは、現役時代に製品開発を手掛けられていたノウハウを生かし、皆で作って販売できるような自主製品の事業化を構想されています。具体的には、嬉しいことがあったときに貯金する「ニコニコ箱」、楽しい絵柄の装丁で封書や葉書を入れておく「お便り箱」等々。
コロナ禍を乗り越え、まずは待望されている食事会から種々のイベントが再開され、魅力的な自主製品が軌道に乗り、さらに皆さんの生活が充実されるよう願っています。