特定非営利活動法人 もったいないジャパン
特定非営利活動法人 もったいないジャパン
個人の方や企業、農家から、まだ食べられるのに廃棄される食品や使用できる日用品などの物資を寄付していただき、国内の児童養護施設やフードバンク、子ども食堂他、東南アジアを中心とした海外の孤児院や学校、支援NGOなどに寄贈しています。廃棄されてしまう多くのものを社会に還元、「もったいない精神」を普及することで「捨てない社会」を実現することを目的に活動しています。2016年4月設立。
《理事長の大森裕貴さんとスタッフの方にお話をうかがいました》
創設者山本高大さんの意思を引き継いで
不要本を無料回収して国内外の福祉施設や学校等に寄贈するNPO法人セカンドブックアーチを設立した山本さんが、活動の中で、家で眠る本以外の日用品や食料品も役立ててほしいというニーズに応えるために新たに立ち上げたのが「もったいないジャパン」です。
萩園に拠点を構え、個人や企業からの寄付物品を必要な方へ届けるために様々なネットワークを築き国内外を日々奔走していた山本さんですが、2021年9月に30代の若さで急逝。市内のコワーキングスペース「チガラボ」で知り合い、メール対応などで活動協力していた同年代の大森さんが、この度新理事長に就任されました。
テキパキと動く女性スタッフのみなさん
現在、寄付物品は送付でのみ受付中ということですが、月曜日は特に荷物が多く、全国から100個近く届けられることもあるそうです。この日は約40個の荷物が宅配便で届きました。大型トラックの荷台から様々な形や大きさの段ボールが降ろされると、5名ほどのスタッフが送付状を確認しながら次々と開封、仕分け作業に取り掛かっていました。大きなビニール袋一杯のぬいぐるみ、新聞紙に一枚一枚包まれた食器類、家電の箱、未開封のタオルの束、雑貨類、絵本、衣類、防災備蓄食料等々。手際よく種類ごとに整理された場所に収め、開封済みの段ボールを畳み片付けるまで30分ほど。送り主の思いも受け止めつつ、あっという間に作業が終了しました。
物品の寄贈先は国内外約40ヵ所ほど。行政や大学と連携して生活困窮者支援、被災地支援の物資として届けられることもあります。コロナ禍では大量のマスクや自宅療養者用の食品・スポーツドリンクなどが増えた一方で、企業からタブレットの寄付もありました。
最近では市内の子育てサークルに、絵本、おもちゃ、ボードゲーム、文房具、お菓子などを届けることができました。「うれしい、助かる!」の感謝の言葉が活動の励みになるそうです。行政に登録して活動している非営利団体であれば欲しいものリクエストも可能だそうなので、困ったときはぜひ声をかけてみてください。
団体のホームーページでは、活動レポートとともに、寄付できるもの、できないものを詳しく紹介しています。モノへの思い入れは人それぞれなので判断に迷うこともあるそうですが、未開封で大切に保管されていたとしても、シミやショウノウの匂いがついたもの、汚れのあるものなどは仕方なく廃棄処分に。廃棄するにはお金もかかってしまうので、送る側の責任や、必要な物だけを熟慮して購入すること、最後まできちんと使い切ることなど、モノへの向き合い方についても改めて考えさせられました。
モノも人の想いも循環する持続可能な仕組み
寄贈物品を届けるための配送費や仕分け作業などのアルバイト人件費などの運営費は、寄付された貴金属やブランド品等を換金したりフリマに出店したりして工面しているそうです。金券や書き損じはがき、未使用切手なども運営費に役立てられます。
大森さんが考える団体の強みは「助成金や補助金に頼らず自立的に運営しているところ」と「他人から譲り受けたものを、それが必要な別の人に渡す仕組みの良さ」。クラウドファンディングの申請サポートやアニメーション動画の制作などを本業としている大森さんは、大学時代、ソーシャルビジネスコンテストの運営に携わっていたこともあり、もったいないジャパンに大きな可能性を見出しているそうです。
「山本さんを超えることはできない。けれども全く新しい自分なりの形で山本さんの納得するものをつくっていきたいです」。
明るさ全開の山本さんとは対照的に静かな落ち着いた語り口の大森さん。内に秘めた熱い想いと力強い決意が、どんな形になって花開くのか楽しみです。