湘南のきさきフルーツプロジェクト(通称:のきフル)
湘南のきさきフルーツプロジェクト(通称:のきフル)
湘南の個人宅に植えられている未活用の種々の果樹をきっかけに、地域のつながりが生まれ、まちの人たちの顔が見える関係を築き、困りごとがあればお互いに助け合えるような豊かなまちの姿を目指しています。(2023年11月設立、運営メンバー5名、サポートメンバー等118名)※2024/09現在
《リーダーの齋藤佳太郎さん、大西裕太さんにお話をうかがいました》
「もったいないなあ」が設立の発端
3年ほど前、齋藤さんが茅ヶ崎の郊外を散策中、あちこちの庭先の実ったままの夏みかんに「もったいないなあ、食べたいなあ」とつぶやいたことが、このプロジェクトの発端となりました。高齢世帯の増、近所付き合いの減等もあるのでしょうが、東北出身の斎藤さんには見慣れない風景であり、この果実をもとに何かできないか、というのが活動の原点です。
お二人とも、今春で終了したコワーキングスペース「チガラボ」に関わっており、そこでの人のつながりが発展して、「とまり木」という古本を通じての居場所を大西さんが一昨年矢畑に開設。そして、のきフルはチガラボの関係者5名で、昨年活動がスタートしました。
3つのチームで活動を広げて
のきフルは、ホームページもSNS(インスタグラム、フェイスブック)も充実、情報が次々アップされていますが、新たに参加したい場合はまず、月1回程度開かれる説明会に出席し、活動の趣旨を知ってもらいます。次に、フルーツ収穫隊、キッチン、ブランド開発の3つのうち関心が高いチームに加わり、メンバー同士の交流の輪が広がって…という流れになります。
実際には、はじめにフルーツが余っている家(オーナー)を募集、ご高齢の場合、お子さんがSNS等に連絡をくれることも。収穫に伺い、秋から初夏にかけて夏みかん、甘夏、ゆず、レモン、金柑、あんず、びわ、梅、クチナシが集まりました。次は、キッチンチームの出番です。ジャムやジュース、果実酒はもとより、ゆずでラーメン・ポン酢・化粧水、甘夏からアロマ、夏みかんから洗剤などのワークショップを催してきました。ブランド開発としては、市内のかき氷店と提携してシロップの開発が進行中です。
収穫した果実のパーティで交流を
収穫のない8月、南湖の木熨斗(きのし)という旧邸宅の貸し間で、のきフルのパーティに参加してきました。ここは庭のフルーツのオーナーでもあり、ゆったりとした洋間で大テーブルに並べられたジャム、シロップ、果実酒や果実を使った料理を20数名でにぎやかに味わいました。中には茅ヶ崎らしく?松葉と松の実のお酒なども。私はほとんどの方と初対面でしたが、皆さんほろ酔い気分も手伝ってか、フレンドリーに接してくれて、ここからつながっていける気がしました。参加者も多彩で、調理する方、撮影する方、開発中のコーラをプレゼンする方、BGMをピアノで奏でる方、ドリップコーヒーを淹れる方等々、楽しいひとときを過ごしました。
「所有ではなく共有」をモットーに今後も
「モットーは『未活用の活用』であり、『所有ではなく共有』です」と齋藤さん。「それは、フルーツに始まり、例えば、収穫に必要な剪定ばさみは、メンバーが家にあったものを持ってきて買わずに済んだとか。のきフルの活動を通して、人の意識が所有から共有に変わり、人の関係性から始まるシェア文化が地域課題解決の糸口になれば」と大西さん。
もちろん人と人のつながりがベースにあって、これまで小学校の夏祭や授業にも出向いており、この先は高齢福祉や環境の分野にも関わっていこうかと…活動の構想はとどまりません。昨年度難関を突破してトヨタ財団の助成プログラム「地域における自治を推進するための基盤づくり」に採択された、のきフルのまちづくりに向けての今後の展開から目が離せません。
▶のきフル最新情報!(詳細はHP等をご覧ください)
- イベント
活動1周年特別企画「これからの“協力”とまちづくり」10/26(土)14~17時
ココテラス湘南(JR辻堂駅北口)、ゲストに松原明氏・池本桂子氏。 - 新刊本「ゆるい場をつくる人々」(学芸出版社)で、「のきフル」「とまり木」が紹介されました。