にじカフェ
にじカフェ
病気や障がいがあっても、介護されていても、全ての人が「人生を最後まで楽しむ」ことができるように、いつでも誰でも安心して過ごせる地域に開かれた循環型コミュニティの場作りをしています。(設立2022年5月、正会員4名、ボランティア/サポーター約50名)
《代表の銭坂さんに お話をうかがいました》
始まりは患者さんの一言から
にじカフェの場所は幸町13-20。カフェの場所がなかなか見つからなかった銭坂さんですが、偶然にもマヤ暦での神聖な数字とされる13と20の場所にめぐり合いました。平屋の古民家のような建物のドアを開けると、そこは冬の日差しと木のぬくもりのある、暖かくて優しくて何か懐かしい空間が広がっています。何となく昭和の香りもします。
銭坂さんは看護師の傍ら、自宅でアロマサロンを開いていました。アロマスクールとサロンと、ごはんが食べられる場所を作れたらいいなと思っていました。そしてそこは病気でも高齢者でも身体が不自由でも、誰でも来られる場所にしようと。
療養型の病院で働いていたある日のこと「本当は美味しいコーヒーを飲みに行きたいけれど、みんなに迷惑がかかるから、あきらめて缶コーヒーを飲んでいるの。」と話す患者さんがいました。
その人はコーヒーが大好きでしたが、余命2ヶ月と言われていました。人生の最後に美味しいコーヒーを飲むという、小さな希望もあきらめなければならない現状に銭坂さんは衝撃を受けました。「それならば酸素していても車椅子でも気兼ねなく入れるカフェを私が作ろう」それがにじカフェの始まりです。
自宅でアロマサロンをやっていて、2016年頃から個人事業主を集めたイベントを藤沢で年4回ほど開催していたこともあって、いろいろな人とのつながりはその頃からあったそうです。自分の想いをたくさんの人に話し続けているうちに、一緒にやろうと言ってくれる仲間ができ、2019年から「にじカフェプロジェクト」として動き始め、神奈川のモノにこだわりながら場所を作り、2023年10月にオープンすることができました。
どうやったら、来てほしい人に「声」が届くのか
にじカフェの発酵カフェでは、軽食とドリンクを出しています。素材にこだわり、発酵調味料を使用した身体に優しいメニューです。また、レンタルスペースとレンタルボックスがあり、有料で貸し出しをしています。そこでは、さまざまな出張講座や教室が催され、出会いの場になっており、雑貨なども置いてあって、楽しい空間になっています。また、地域の福祉事業者、子ども支援の団体などと盛んに交流し、横のつながりを大事にしてフェスなども催しています。
ただし、カフェを運営して場をつないでいくには、収益を上げなければなりません。それがなかなか難しいようです。いろいろなことをやりすぎて、外から見ると何をやっている所なのかよくわからない、何もない普通の人が行っていいのか、などと思われているのが悩みです。
何とかにじカフェを知ってもらおう、足を運んでもらおう、思いも伝えようと、毎日Instagramで発信しています。
みんなが自分で人生を決められるように
銭坂さんが、いま力を入れているのは「414(よいし)カードお話し会」と終活、アロマとタッチングだそうです。「414(よいし)カード」とは最後まで自分らしく大切なものをあきらめないための死生観対話カード。話すことがタブーとされがちな「死」を見据えて考えることで「今」をどのように生きるか、自分が大切にしたいのは何なのかに気づくことができ、それをみんなで話し合います。終活にもつながります。アロマとタッチングで「触れるコミュニケーション」の大切さを知ってもらい、温かみだけでなく、想いや感謝を伝えようとしています。
思った時に行けて、そこで何かしらのつながりができて、にじカフェに行けば何とかなる…というような「ハブ」を目指している銭坂さん。「つながり」がキーワードだと言う銭坂さんの言葉は、暖かくて、優しくて、にじカフェそのものです。
「一日一食ここで食べて、ちょっとおしゃべりして、お散歩して、生存確認して帰っていく、そんなお年寄りを増やしたい」と奔走している銭坂さんにエールを送ります。