特定非営利活動法人 湘南市民メディアネットワーク
特定非営利活動法人 湘南市民メディアネットワーク
主に湘南地区を中心に、映像・メディアコンテンツを通して人と人・人と地域をつなぐことを目的として活動しています。2016年から「ユースボランティア茅ヶ崎」の受入団体。
《代表の中野晃太さんにお話を伺いました》
映像制作の持つチカラ
藤沢駅北口から北へ向かった遊行通りにある昭和6年築の古民家。懐かしく落ち着いた歴史ある建物「蔵まえギャラリー」の2階に事務所を構えています。団体名にあるように市民自らによる表現や発信する「市民メディア」を大切に日々活動。
団体を立ち上げる原点は前代表の森さんの実体験にあります。それは、ある定時制高校の生徒がドキュメンタリー映像を制作することをサポートした時、困難を抱えた子どもたちが映像制作をきっかけに変わっていった姿でした。人前で話すのが苦手だった生徒やひきこもりだった生徒が上映会でみんなに向けて作品の発表をする姿を目の当たりにして、映像を作る過程で人は変わる!と思ったそうです。映像をツールとして青少年が自分に自信を持てるようになることや社会との関わりを持てるようになるきっかけになることを目的に2007年に団体が設立されました。
中野さんが高校時代、放送部で映像作品作りをしている時に森さんから「湘南で映像祭を企画するにあたり作品を出してみないか」と声がかかりました。それ以来、当団体と関わる様になり、今は代表を受け継ぎワークショップ事業の開催、神奈川県や藤沢市からの委託事業、さらには青少年から高齢者までの福祉事業、市民活動等の映像制作やネット配信、映像祭や上映会の企画運営、地域に根ざした映像・メディアコンテンツ制作など様々な事業を団体メンバーとインターンの大学生、ボランティアと展開しています。
映画「リテイク」 教え子の頑張る姿が源に
中野さんが関わった人たちと共に作った映画「リテイク」。第45回ぴあフィルムフェスティバルで577本の応募作品の中からコンペティション部門「PFFアワード2023」で見事グランプリを受賞しました!
ワークショップ事業で藤沢総合高校の「映像表現」という授業で講師もしている中野さん。この映画を撮るきっかけとなったのは、教え子のひとりが卒業後、映画を撮影しているという話しを聞いたこと。
”自分も頑張らなくては!” と触発されました。コロナ禍で時間に余裕があり、自分の今までについて考え直した頃でもありました。
学生時代の映画制作の経験や、そのときの制作を通しての友人たちとの関わり(よかったことも、失敗も…)、さらにはその当時の作品自体も振り返ったり、実現と結実しなかった作品企画のアイディア、またワークショップの仕事を通じて見えてきた青少年の映像制作の過程も思い出したりして、それらを「リテイク」のシナリオに落とし込みました。猛暑や雨、一般の人が映りこまないようにするなど大変な撮影でしたが、シナリオ以上にキャストが個性やアイディアを出してくれていいものができたそうです。「キャスト陣もですが、一見ふつうの青春映画のようですが、とんでもないことをやっている映画なので、そのあたりご注目ください!」と仰っていました。
ワークショップで世界が広がる
映像作りを通じて、仲間と普段とは違うコミュニケーションが生まれます。人それぞれ役割があり、演じることで普段とは違う個性を発揮できたり、映っているだけで味がでたり、作るのが好きなら小道具作りなど、個性を生かし合いコラボレーションして作品ができあがります。作っていく過程での変化やコミュニケーションを大事にしているそうです。
「ワークショップで地域CMを作る時には、プロでは出せないその人だからこそ見える視点や地域との関わりを作り出すと良い作品ができる。中でも特性を持った子の作品は、見たこともない独創的な作品と出会えるので面白い。そしてその子の違う一面を作品として一番に見ることができるので嬉しい。」と、やりがいも語ってくれました。
ゆくゆくは、高齢者や障がいのある方、外国ルーツのある方ともワークショップを開催し、映画作りの過程や作品を通し様々な関わりが生まれる「場」ができたらいいと野望を抱いているそうです。
静かな眼差しと口調の裏に隠れた熱い思いを語ってくれました。今後の活動の展開が楽しみです!