認定特定非営利活動法人NPOサポートちがさき
刺さった思いを行動に変え、暮らしの目線で発信しよう。
益永律子さんが「市民レポーター入門講座」にかける想い
あなたは、何か引っ掛かって忘れられない思いを持ったことはありませんか?
気になるけれど、何もできずにただ見過ごしてしまって、言葉にもできず、行動にも移せなかったことがあるかもしれません。
私は、「なぜ?」と疑問を持ちながら、声を出さずにいたことがたくさんありました。
でも3.11を経験して、自分が違和感を覚えたことに対して声を上げる大切さに気づき、少しでも生きやすい社会になったらと思い行動に移したら、驚くほど多くの人と知り合うことができました。
そんな中、縁あって参加したのが、ちがさき市民活動サポートセンター(通称:ちがさきサポセン)での「市民レポーター入門講座」。主催の「NPOサポートちがさき」代表理事・益永律子さんのインタビューを通して、この講座が目指す「生活者目線の情報発信」についてご紹介します。
ちがさきサポセンは、ひとことで言うと、市民活動団体やボランティアなどを支援する施設です。
利益を得るためではなく、誰かの役に立つ活動を行っている人たちや、これから活動しようと考えている人たちのため、場の提供、情報収集や提供、相談・コーディネート、交流促進などを行っています。これらの活動を通して、組織力のない数人の市民でも、映画上映会や講演会・報告会といったイベントや、学習会・交流会などが開催できる環境を整え、仲間を増やし暮らしやすい街に変える手助けを行ってきました。
ちがさきサポセンがオープンしたのは2002年。立ち上げから関わっているのが、NPOサポートちがさき・代表理事の益永律子さんです。
この活動を始めた背景には、益永さんが子どもの頃に住んでいた関西での原体験がありました。在日朝鮮人を蔑視するような発言を耳にしたり、物乞いをしている傷痍軍人や勉強ができなくてバカにされて悲しそうな同級生を目にしたりしたことが、「棘(トゲ)のようにずっと心に刺さっていた」と話します。
この活動をしていると、自分が気になっていることを解決する人たちと知り合えて、「まるで自分の宿題を解決してくれているよう」、そして「新しい出会いが見えるのが楽しい」といきいきと語ります。
益永さんが、今回の「市民レポーター入門講座」を始めたきっかけは、北原まどかさんが代表を務める「森ノオト」の活動に出会ったことでした。主に子育て中の方々が生活者の視点で記事を書くところに惹かれて講座を企画。この街に住み、社会と関わる母親の背中を感じながら子どもが育つように、「子育て世代がライターになってくれたら」という思いで開催しました。第1回目は2017年11月に終了しましたが、今後も定期的に講座を開き、「気になることを大事にして行動に移す人、そして、自分で考え自分で選ぶ人を増やしたい」と言います。
それは、暗黙のうちに同調する圧力を感じ、子ども一人一人が持っているものが見えなくなってしまうような現在の日本で、“誰もが置き去りにされない社会”を作りたいという想いがあるからです。
私は益永さんの取材を通して、刺さった記憶や思いを持ち続けて行動していることに、とても共感しました。
私も心に刺さっていることがたくさんあります。子どもの時は生きていくのが苦しかった。それは、重苦しい気持ちを感じることが多かったからだと思います。でも、多くの場面でマイノリティであることが生きにくさを生む社会であるなら、それを変えられるように何かアクションを起こさなければということに、最近になって気が付きました。
生活者の視点を持つこと、そして記事として発信することで、共感してくれる人を増やし、何かを変えることに繋がるかもしれません。
講座を卒業した方には、ちがさきサポセンのホームページで記事を発信するチャンスも用意されているそうです。皆さんも「市民レポーター入門講座」に参加して、生活者目線で様々な社会のことを発信してみませんか?
中央が益永律子さん。「市民レポーター入門講座」の講師、北原まどかさん(左)と池田美砂子さん(右)と一緒に。
「市民レポーター入門講座」では、講師の池田美砂子さんが益永律子さんへインタビューを行い、参加者のみなさんが記事にまとめました。