【開催報告】SDGsカフェ6 地域の力が集まった「新しい交流の場」創りませんか~休耕田んぼの活用でみんなを笑顔に~

日 時:2023年2月25日(土) 14:00~16:00
会 場:ちがさき市民活動サポートセンター フリースペース大
参加者:20名

ゲストスピーカー:
島村美咲さん(おもちの田んぼの会
鈴木國臣さん(タゲリ米農家 / 三翠会

《プログラム》

まちなかでも自然と共に暮らしたい、農業・農地と共生するまちづくりがしたい、子どもたちに地域のつながりを残したい…そんな思いを持った人たちが集まり、都市農業とまちづくりの可能性について語り合いました。

前半は、円蔵地区にある休耕田を「地域の新しい交流の場」に作り変えた「おもちの田んぼの会」の活動に関する島村さんのお話と、会の活動をサポートしている鈴木さんのお話でした。


◆島村美咲さんのお話し

おもちの田んぼの会とは、茅ヶ崎市円蔵にある休耕田に、かつての賑わいを取り戻したいとの想いから立ち上げたグループで、2021年より活動を開始。昨年2度目のもち米収穫を終え、来月から今年の活動が始まります。素人ばかりの団体ですが、地域の皆様に支えていただきながら、3年目に入りました。

発足のきっかけとなったのは、「鶴が台名店街に地域の居場所をつくる会」共同代表の佐川さんが、ふともらした「近所にある休耕田をなんとか蘇らせることができないか」という発言でした。当時、私(島村さん)は、居場所をつくる会を母体に生まれた「GENKIプロジェクト」のメンバーとして活動していて、佐川さんの発言に心を動かされたのでした。

早速、休耕田の地主さんを探り当て、話をすると、「高齢で田んぼの作業は難しいため休耕にしたが、水をはる前までなら作業をしてもいい。素人が作るなら、もち米がいいぞ!」というアドバイスをしてくださいました。以前、円蔵にある神明神社のお祭りで餅つきをするためのもち米を、その田んぼで作っていることを知り、円蔵睦会の協力を得ながら、会の目標を「もち米で餅つきをする」と決めました。

「おもちの田んぼの会」は会員制で、定員30組になっています。日頃は、Instagram、Facebook、LINEを利用して情報交換をし、広報活動として、チラシやポスターも作成しています。子育て世代が多いことから、スタッフミーティングは、zoomを使って夜に開催しています。また、働いている人が多いため、活動は土日を中心に行っています。

田んぼをめぐる1年のサイクルは、こんな感じです。1.苗の購入(前年の12月)、2.田おこし(4月~5月)、3.肥料まき(5月下旬)、4.水入れ(5月末~6月初旬)、5.しろかき(6月初旬)6.田植え(6月中旬)、7.草取り(田植え後~水を抜くまで)、8.稲刈り(10月下旬から11月中旬)、9.脱穀 籾摺り(11月中旬)、もち米配布(12月初旬)。中でも、草取りは、大変な作業で、夏の間は、草取りばかりしていた記憶があります。

農作業の合間を縫って、こんなイベントを開催してきました。1.どろんこあそび(しろかき)、2.水路で水遊び(田植え)、3.田んぼの生き物探し、4.水鉄砲で水遊び、5.案山子コンテスト(SNSで投票)、6.しめ縄づくり(脱穀)。

農業の知識、経験、近隣農家さんとの人脈、すべてが0からのスタートでした。何しろ、メンバーは、ほぼ女性(しかも子連れ)か高齢者でしたので、力仕事の際は苦労しました。また、どんな農機具が必要かという知識がないので、その都度、色々なところから農機具を調達しました。例えば、苗や稲の運搬に使う「軽トラ」がないので、各家庭のミニバンで対応しました。

こうした苦労があった一方で、人の縁には恵まれました。まず、地主さんは、素人の私たちを快く受け入れてくださいました。今も、田んぼに水が来ているのは、地主さんが組合に在籍を続けてくれているからです。また、地域の皆さんに、農作業や農業指導でご協力いただいています。さらに、農機具を貸し出してくださる農家さんもいます。また、会に集まってくれる会員のみなさまには、本当に感謝しています。

「おもちの田んぼの会」の活動を始めてよかったことは、4つあります。一つ目は、自分たちはもちろん、自分の子にも貴重な体験をする機会となること。二つ目は、普段接点のない地域の方々とのつながりができたこと。三つ目は、おとなも子どもも一丸となって楽しめる、多世代交流の場となっていること。四つ目は、居心地のよい居場所であり、それぞれに役割があること、です。

では、活動を通じて感じたことをお話します。私たちは田んぼで活動していますが、これから活動する方々は、畑や別の形でもよいと思います。農業体験は、日々の食生活に直結していながら、その過程は非日常的な体験です。こうした貴重な体験に参加できていることに感謝しています。地域の農業は、人が集まる場所になれると思います。最後に、年々市内の緑地が減っている現状がある中で、「おもちの田んぼの会」の活動は環境保全にも役立っているのではないでしょうか。


◆鈴木國臣さんのお話し

最初に、今、自分が取り組んでいる活動を紹介します。一つ目は、「三翠会」と農家とのコラボ製品「湘南タゲリ米」の生産販売で田んぼを守る活動をしています。二つ目は、南側地域の田んぼで小学校5年生の米作りを通して、農業と農家の生業を実体験授業で学ぶ機会を提供しています。三つ目は、東側の相模線に隣接する新駅予定地を出来るまでの間、自治会地域住民と自給自足公園として活用する事業を委託しています。四つ目は、北側にある民話河童徳利伝説発祥の地を整備していただき、利活用して行く活動です。

ここからは、「おもちの田んぼの会」との関わりについて話をします。島村さんの話の中でも話されてましたが地域の方の協力には私よりもっと深く関わられてきた方が沢山います。地主さん、協力農家さん、地域での活動団体さん、側面支援頂いている議員さんなどです。

ある時、「おもちの田んぼの会」の方が、サポセン経由で私(鈴木さん)の存在を知り、連絡をしてきました。「休耕田を耕して欲しい」というご依頼だったのですが、休耕田の場所が家から遠かったため、知り合いの円蔵の農家さんを紹介したのです。その後、様子が気になり、時々この田んぼを見回った時に用水管理に苦労してる会の方々にアドバイスをしたくらいです。

最後に、農を通しての新しい交流の場づくりについて、自分なりの考えをお話します。

  • 遊休農地はますます増えています。場所、地域によっては借りやすい農地、田んぼはある。
  • 場所を探す 借用可能な農地を見つける。
  • 地域のキーマンを探す。
  • 協力者には農家であり、農機を持ち、運転支援してくれる方が必須。
  • 何より代表の方の熱意と行動が重要。提供者にも活動参加者にも「想い」が伝わる。
  • 運営については

・代表者と事務的担当事務局と会計は兼務も有りですが、最初に決めておくと良いでしょう。
・地権者の理解が必要。
・周辺住民の理解を得ること。活動に参加していただくと活動の報告と問題の汲み取りができる。
・自分たちで問題解決出来る事は自分たちで解決し、出来ぬことは行政に相談する。
・他の同様グループや活発な市民グループと交流したり、イベントへの参加や協力をすること。

農活には収穫の喜びが有ります。是非これを機会に、持続可能な、楽しく交流できる場を地域で作って下さい。課題はつきものですが、諦めず、一つ一つ皆で考え、皆で解決して楽しいグル―プが出来るといいですね。

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◆グループワーク
後半は、地域活動や市民活動の団体、行政、中学校教諭、農業に関心のある個人など色々な立場の参加者がグループに分かれて交流。延長してほしいとの声が出るほど熱のこもった活発な意見交換がなされました。

終了後の感想では、「農作業は大変だからこそ、繋がりの大切さを感じた」「コーディネーターの重要性を感じた」「居場所、地域のつながり、多世代交流に改めて惹かれた」「参加者が今後も繋がる仕組みがあるといい」等の声がありました。