【開催報告】2/17(土) SDGsカフェ8「わたし は わたし」自分らしくいられる社会・選択肢が多い未来を~SOGI・LGBTのことを考える

日 時:2024年2月17日(土) 14:00~16:00
会 場:ちがさき市民活動サポートセンター フリースペース大
参加者:35名     手話通訳者:2名

ゲストスピーカー:
信濃 小百合さん(にじ色のたねを育てる会 代表)
池田 宏さん(公益社団法人 Marriage for All Japan


SDGsの「誰一人取り残さない」という理念のもと、第8回のカフェは、その対象となるべき性的マイノリティの方々、SOGI(ソジ)*1・LGBT*2 をテーマに、人権を尊重し、性の多様性を認め合っていくことを考えていく機会として開催。

当日は、申し込まれた方がほぼ参加されるという盛況で、まず、基礎知識を解説する20分ほどの公開動画を上映しました。
続いて、茅ヶ崎で「パートナーシップ宣誓制度」の実現を働きかけるなどの活動を展開してきた信濃小百合さん(にじ色のたねを育てる会*3 代表)、全国規模で結婚の平等・同性婚の実現へ向けて活動している池田宏さん(マリッジ・フォー・オールジャパン(略称:マリフォー)*4)よりお話を伺いました。その後、参加者数人のテーブルごとにグループワークをしていただき、最後に再び全員で本日のテーマを振り返りました。

*1:SOGI(ソジ):性的指向、性自認の頭文字をとった性のあり方の総称の一つ。
*2:LGBT:レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダーの頭文字をとった、性的マイノリティの総称の一つ。
*3:にじ色のたねを育てる会
*4:公益社団法人 マリッジ・フォー・オール・ジャパン

公開動画上映による基礎知識の紹介
今回のテーマについて分かりやすく解説している、20分ほどの動画(埼玉県作成(サイタマどうが))の「令和5年度埼玉県LGBTQ県民講座 第1部 LGBTQとSOGIの基礎知識」※(講師:五十嵐ゆりNPOプライドハウス東京共同代表)を上映しました。※この動画は、YouTubeでいつでもご覧になれます。

ゲストスピーカーの話を手話通訳でもお届け

  • 信濃さんのお話(要約)

コロナ禍以前の数年間は、啓蒙活動として茅ヶ崎映画祭に参加するなどして、「ジェンダー・マリアージュ」「ゲイビー・ベイビー」「百合祭」「Call me Kuchu」「愛と法」計5本の映画会を催した(各映画の予告編(YouTube)上映)。このうちドラマの「百合祭」以外はドキュメンタリーで、社会問題の提起にこだわった。最初に上映した「ジェンダー…」では、準備段階から多くの人が手伝ってくれ、自分の地元で市民活動を始めようというきっかけになった。

2015年には同性婚に関する人権救済の日弁連への申立てに加わった。2017年には茅ヶ崎市の男女共同参画推進プラン協議会の市民公募枠の委員に就任して性的少数者の視点での意見を心掛けた。

2021年の市の市民意識調査では、「ジェンダー平等ということばの認知度」約7割に対し、「男女の地位が平等になっていると回答した市民」は1割ほどだった。これはもう市民の意識の問題ではなく、制度とかを変えていかねばという思いを強くした。

茅ヶ崎市のパートナーシップ宣誓制度は2021年に始まったが、この制定に向けて、2018年に茅ヶ崎市議会に「LGBTをはじめ性的少数者に対する包括的な施策の推進に関する陳情」を提出し採択された。

  • 池田さんのお話(要役)

同性婚の法制化を求めて「結婚の自由をすべての人に」と称する訴訟を2019年の2月14日に全国5地裁に起こすと同時に、団体(マリフォー)を設立。

私にはニュージーランドの男性パートナーがおり、同性婚が認められている彼の国で30年もの間暮らしてきたが、昨年二人で帰国することになり、手続きに相当苦労した。異性でも同性でも結婚が平等にできないと、多くの困難に直面し人権に関わることになる。

現在地裁では5つの判決のうち4つは違憲との見解が示され、私たちは当面最高裁での違憲判決をめざしている。今日は団体や企業協賛の啓発・PRのパネル展示や物品があり、国会議員あての手紙も用意したので、関心ある方は声を掛けてほしい。

  • グループワーク・全体会他

続いてゲストのお二人も加わって、数人のグループで30分程度話し合っていただきました。
お二人以外にも、当事者や関係者として活動している方々もおり、様々な立場からの実情を聞くことができて、この問題が身近になったとの感想もいただきました。

最後に全体会・質疑応答の後、信濃さんからは「誰もが常にマジョリティではない。知らないことが差別につながる。知識や情報を得るために議会や裁判の傍聴もお勧めする。自分らしく生きていくには選択肢が多い方がいい」とまとめていただき、公共訴訟を支援している「CALL4」の紹介がありました。

また、池田さんからは、昨年のSOGI・LGBTに関する理解増進法成立の際にも話題になった、トイレや入浴の一件について「LGBTの人たちは、そうした件については相当気を遣い慎重に対応しており、無神経にふるまう者はLGBTではないと断言できる。」と心強いコメントがありました。

皆さんからのアンケートには、
「関係者による具体的な話が参考になった」
「自由に話せることができてよかった」
「関心があるなら自ら情報を取りにいくべき」
「あきらめずに変わるまで言い続けることが大切」
「本当に奥の深い問題」
「夫婦別姓にもつながるテーマ」などの声がありました。


SDGsカフェは、「誰一人取り残さない」社会の実現をめざして、SDGsに関わる具体的な活動実践について学びながら参加者同士の顔の見える関係を築くきっかけづくりの場です。

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