【開催報告】NPO講座2019「市民活動、はじめの一歩」地域や社会の課題解決のために自分ができること、団体づくりや組織運営の基本を学ぶ

▶開催日時 2019年10月26日(土)14:00~16:00

▶会  場 ちがさき市民活動サポートセンター フリースペース大

▶参 加 者 14名

▶講  師 野木 瑞恵さん(厚木市学生ボランティア団体「ぼくら」書記、文教大学国際学部国際理解学科1年)
      益永 律子さん(認定特定非営利活動法人 NPOサポートちがさき 代表理事)

 

◆前半/講師:野木 瑞恵さん

「メンバーひとりひとりが役割分担して組織を運営」

 活動のきっかけは、通っていた厚木中学校のボランティア活動部に所属したことです。
部活動では、地域住民などで組織する「あつぎ花のまちづくり推進委員会」に協力しました。本厚木駅前広場から続く約500mの通学路に、2~3千株の花を年3回植栽しています。

 卒業後も地域のボランティア活動を続けたい!という思いが募り、H29年(2017年)、厚木市内初の学生ボランティア団体「ぼくら」を設立し、現在は、高校生12名、大学生5名、顧問1名の18名で活動中。今は書記として団体を支えています。
 組織体制は、会長(1名)、副会長(1名)、会計(1名)、監査役(1名)、書記・記録(2名まで)
 役員区分は、役員(会員の中から選出)、活動会員(15歳以上)、顧問(18歳以上)
監査役や顧問は、厚木中学校のボランティア部を担当してくださっていた先生が退職され、「ぼくら」の活動を見守ってくれています。

野木 瑞恵さん

「ぼくら」の活動は、
1)厚木市道路維持道路里親制度により受託した、里親花壇の植栽活動(年2~3回程度)
2)里親花壇の美化活動(月1~3回程度)
3)本厚木駅前清掃活動(月1回程度)
4)役員定例会(月1回程度)
5)他団体からのお誘いへの活動参加(月1~3回程度)
6)厚木南地区世代間交流事業の主催など

<詳細>
1)、2)道路里親制度は、市民協働事業の一つで、「道路の里親」になり、市道の美化活動。
清掃に必要な道具、苗、植えつけに必要な道具は市から支給され、最近は、夜間でもきれいに見えるようLEDが付き、地域の方から「きれいね。」と声をかけられると活動の励みとなっています。
3)本厚地駅前清掃活動は、メンバーが集まりやすい時間、午後7時から清掃活動。30分前によびかけしても集まることができ、清掃道具はメンバーが各自持参し、持ち帰っています。
6)「世代間交流」を主催し、コミュニティーカフェ併催で花の寄せ植えを開催し、地域との連携を深めています。

 今後の課題は、活動資金の確保、ボランティア活動の参加率を上げる、後生の育成です。
課題解決には、下の世代が入ってくれるような活動、そして活動の輪をひろげていければ、と思っています。

 

 

▶学生の団体とは言え、みんなが責任感を持ち、団体運営に参加していると感じました。野木さんの活動に対する熱い思いを丁寧にお話いただきました。

←Twitterでも活動が紹介されているので、ご覧ください。

 

 

 

★後半/講師:益永 律子さん

「何かをしたい思いを実現するのが市民活動の面白さ」

社会的課題を「ほっておけない」、行政・企業ができない課題を解決できるのがNPO。
NPOの本質は、非営利である(収益を上げても分配しない)こと。ミッション達成のために社会に存在する人の集まり、何よりも責任ある体制で継続的に存在する人の集まりのことを指します。みんな違う個性から生まれる「多彩さ」がニーズにこたえ、個々に応じることができるから「温かい」、そして、不公平にならざるを得ない これが強みになる。これらのことに自信を持って進めてほしいです。
そして、活動をはじめた時からメンバーで組織の文化を創っていってもらいたいです。

「責任ある組織、そして無理のない組織を」

手ごたえのある活動をするには、「全員合意」型でリーダーがいて、全員が納得するまで話し合い、事務局が支えることが、組織の人間関係としては望ましいと思います。
責任を持って課題解決をするために、また法人化を目指すならプロフェッショナルな組織になってほしいです。その意思決定においては、“責任と期限が明確”であることが大切です。記録をしっかり取られている、会計が明確であることが求められることになります。社会に対し、責任ある参加をしているので、覚悟を持って進んでほしいです。
また、リスク管理では、お金の管理をしっかり行い、成功している事例からどんどん学ぶことがよいと思います。

益永 律子さん

<組織が育つ7つのスキル> →「ぼくら」がやっていることでもあります
①人を理解する:聴いて、発見する
②話し合いをまとめる:一緒に考えて、決めたことが尊い
③人の和を生み出す:少数意見を大切に
④多様な視点が双発をもたらす:全メンバーがプレーヤー
⑤活動の企画を立てる:参加意欲をかきたてる
⑥支出を把握する:使途の透明性に気を配る
⑦実現する:個々の得意を活かす人材の配置&スケジュール管理
(⑦補足:法人化を目指すなら、事務局になってくれる人材の確保が重要)

これからは、貧困、子どもたちの引きこもり、高齢者の方、障害がある方など、自分では解決できない社会的問題を、NPO法人格を取られた方々にがんばっていただき、行政の制度やしくみでやりきれないことを実現していってほしいと思います。


以上、NPO(民間非営利組織)のミッションや運営のイロハ、組織について、事例を交えながら分かりやすく説明いただきました。

▶当講座を通し、新たな視点や気づきとともに、より良い組織づくりのためのヒントが見つかったのではないでしょうか。

誰かが取り残されないように、「なんとかしたい」の想いは、自分がやる一歩は小さくても、社会を変える一歩となる。様々な課題はねっこでつながっています。思ったことは発信し、身近なところから行動を起こしていきましょう!

 

<参加者からの感想>
・若い野木さんの静かなお話の中に熱い想いが伝わってきた。
・お二人の思いがひとつになっていることも、とてもよかった。
・「ぼくら」が実にしっかりした組織であることを知り、素晴らしいと思った。
・NPO法人を検討するうえで、ポイントを押さえた説明は大変参考になった。
・もう少し参加者の悩みや考えを聞ける時間が欲しかった。
・具体的に活動している団体の取り組み事例など、今後取り上げてほしい。
・社会貢献に興味があるものの、一人では何もできず、情報を取りたいと参加した。継続して勉強させていただきたいと思う。