【開催報告】「地域の居場所づくり交流会Ⅲ@茅ヶ崎」

居場所づくりのポイントが見えてくる!
地域の居場所づくり交流会Ⅲ@茅ヶ崎 開催報告

▶開催日時
2018年11月10日(土)14:00 ~ 17:15

▶会  場
ちがさき市民活動サポートセンター フリースペース大

▶参 加 者
30名

▶プログラム
事例発表:五味 真紀さん (カフェ ハートフル・ポート)
     佐藤 和美さん (お茶の間 サトウ) 
     内田 勉さん  (湘南アナログ・レコード館)
     重田 扶美子さん(フリースペース ら・ぱれっと)
講  演:<講師>牧野 篤さん(東京大学大学院教授)

      

第一部 <事例発表>

〇五味 真紀さん(カフェ ハートフル・ポート)

五味さんは、同居していた義母の死をきっかけに「空き部屋を活用できないか」と考え始めたと言います。ソーシャルビジネスセミナーへの参加やカフェめぐりを通して、カフェ開業に必要な情報と仲間を集め、2014年に自宅の一部を改装して「カフェ ハートフル・ポート」をオープン。

「ハートフル・ポート」の利用者は、赤ちゃん連れの親子、友達同士、夫婦、近所の高齢者、一人暮らしの男性、特技を活かした活動をしたい人、居場所作りに興味を持っている人など。ここでは、大人のための絵本カフェやウクレレ倶楽部など利用者が企画する各種イベントに加え、赤ちゃんから高齢者まで多世代が食卓を囲む「みなと食堂」が2016年8月にスタート。翌年9月には、地元の地域ケアプラザ生活支援コーディネーターと連携して「みなとの茶店」という認知症カフェも始まりました。

4年間カフェを運営してきた五味さんの感想は、「地域には、誰もが気軽に立ち寄れる『居場所』が必要! 地域に居場所があることで、人と人とをつなぐことができる。そして、人と人の出会いが、新しい活動を生み出していく」とのことでした。

 

〇佐藤 和美さん(お茶の間 サトウ)

2年前まで民生委員をしていた佐藤さんは、地域の中に孤独な高齢者が増加していること。高齢者の健康長寿には、栄養・運動に加え、人とのつながりが重要だという

ことを学んだといいます。数年前、自宅で一人暮らしとなったことをきっかけに、自宅の空き部屋の活用を思いつきました。

 近所の元民生委員に「住み開き」のアイデアを話したところ「協力したい」という話になり、地域のサロンや子ども食堂を見学した後の2017年6月、第1回の「お茶の間 サトウ」を開催。初回は「お茶とお菓子」のみでしたが、「お昼がでればもっとゆっくりできるのに」との参加者の声を受け、翌月からは300円のランチを出すことにしたそうです。

 現在は、「旬の食材を使い、手作りで」をモットーに、仲間2名の協力を得てランチをつくり、毎月第3火曜日にサロンを開催。月平均17人の参加者があり、参加者の最高齢は90歳。80歳以上が3分の1を占めるそうです。

 最後に、佐藤さんから「自分が住む浜須賀地区に、そして、将来的には全市に自分と同様の活動が広がることを願っている」との言葉がありました。

 

〇内田 勉さん(湘南アナログ・レコード館)

 内田さんは、「自分が長年収集してきたアナログ・レコードを、多くの方に見て楽しんでいただきたい」という趣旨で湘南アナログ・レコード館を開館しました。現在も会社員と行政書士をしているため、平日に開館できないのが目下の悩みだそうです。

 所蔵レコードは約5万点で、ジャンルは、ジャズ、ロック、フォーク、クラシック、歌謡曲と幅広いのが特徴です。内田さんによれば、レコードは、曲を聴くだけでなく、ジャケット(作者、古色感)を楽しむ、音を楽しむ、ジャケットの帯(大きさ、形状)を楽しむ等、様々な楽しみ方があると言います。現在は、土・日・祝日(開館可能な金曜日)を開館日とし、三つの時間帯(11時~13時、14時~16時、16時30分~18時30分)に分けて来館予約を受け付け、案内をしているそうです。

最後に、内田さんから、「今後この場をどうしていくか、現在も試行錯誤を続けています」との発言がありました。

 

〇重田 扶美子さん(フリースペース ら・ぱれっと)

 重田さんらが始めた「どろんこ保育園」に隣接する古民家が、空き家になるという話を聞いて「ここを使って何かできないか」と思い、2010年、仲間とともに「フリースペース ら・ぱれっと」を始めた、とのこと。最初から居場所づくりを目指したわけではないそうです。

 主催事業として、「ミシンカフェ」と「お母さんとあかちゃんカフェ」を開催する傍ら、部屋を貸すレンタルスペース事業も展開しています。「ミシンカフェ」は、第1・第2金曜日午前10時から午後4時まで。参加者は、お昼の時間に、日頃の愚痴を言ってストレスを解消するなど、おしゃべりをするのを楽しみにしているそうです。「お母さんとあかちゃんカフェ」は、月1回。若いおかあさんたちが集まり、お昼ごはんを食べながら、子育ての悩みなどについて情報交換をしています。お昼ごはんの野菜は、「ら・ぱれっと農園」で栽培している無農薬野菜を使っているそうです。

 レンタルスペース事業については、現在、特定非営利活動法人ワーカーズ・コレクティブ一心が「カフェサロン 一心」という事業をここで開催しています。最後に、重田さんから、「今日は、参加者の皆さんに、『フリースペース ら・ぱれっと』の活用のアイデアをもらえたらありがたい」との提案がありました。

 

 

<講 演> 講師:牧野篤さん(東京大学大学院教授)

統計をもとに少子高齢化の現状と課題についてお話しをされた後、最後に「これから大事なのは、好奇心と無形資産の価値(人間関係)である。社会を生き抜いていく力をつけるには、困ったことがあっても社会が助けてくれると思える『社会に対する信頼』が大切である。しかし、人々はこうしたことに気づいていても、なかなか行動に結びつかない。では、どうしたらいいか。今日の事例発表にあったような『小さなコミュニティ』を地域に沢山つくることが重要ではないか」と講演を締めくくられました。→詳しくは、「講演要旨」を参照。

 

 

第二部 <グループワーク>

ふたつのテーマで、ワールドカフェ
最後は6つのグループに分かれてワールドカフェを行いました。テーマはふたつ。ひとつのテーマごとにテーブルはシャッフルされ、話し合いをします。

 ①「事例発表・講義を聴いて感じた、居場所づくりのコツ、大切なポイントとは?」

 ②「もしあなたが『湘南アナログ・レコード館』または『フリースペースら・パレット』で居場所づくりをするなら、場所の特徴を活かして、どのような『場』をつくりたいですか?具体的なアイディアを教えてください!」

ふたつ目のテーマ終了後はグループごとの内容を発表。ユニークな例がたくさん集まりました。

「アナログ・レコード館」では、
・自宅にあるレコードを持ち寄り、レコード版ビブリオバトルを行う
・コーヒーや日本酒も用意して男性が集まりやすくする
・週ごとにテーマを決めてコンサート など

「フリースペースら・ぱれっと」では
・子どもたちと庭に植物を植え育て、みんなでリースづくり
・近くの保育園に声掛けをし、絵本を借りてよみきかせ
・男性を巻き込んだ料理教室  など

それぞれのグループで、こんなことができる、あんなことがしたいと、活発に、そして楽しげに話し合いができました。

 

【アンケート感想から】

・体験した方の生の声が聴けて非常に有意義でした。
・それぞれの方の居場所づくり、とても参考になりました。

今回の地域の居場所づくり交流会Ⅲをきっかけに、新しい居場所が誕生することを願っています。