市民活動ってなに?

「ひとりの思い」から「みんなの思い」へ

なんとなく、ちょっと遠い存在の「市民活動」。実は、たったひとりの思いから始まります。たとえば、「美しい自然や街並みに囲まれて暮らしたいのに、いつも散歩に行く海岸や公園にゴミが落ちている」と気づいたとき、また「小さな子ども連れでもホッとできる居場所、自分らしくいられる居場所があったらいいな」と思い立ったとき、自分の生活だけでなく、地域も社会もよくしようと行動すれば、それは「市民活動」の始まりです。ひとりの力は小さくても、あなたの思いをまわりに伝えることで、一緒に活動する仲間や必要な資源(場所、労力、資金など)を提供してくれる協力者など共感の輪が広がり、その活動は、やがて社会を変える大きな力となっていきます。

市民活動は「社会的な責任や役割」を意識して、自発的に継続して取り組む活動

「困っている人を放っておけない、役に立ちたい!」と、誰かのために、個人の思いを原点にして行う活動として「ボランティア」という言葉があります。「ボランティア」は、ラテン語のvoloウォロ(意思や志願)が語源。金銭的な見返りを求めず、活動をするかしないかは自分の意志で決められます。ちょっとした気づきや出会いから、いつでも誰でも始めることができます。個人的な、単発の活動でもよいことなどから、「ボランティア活動」は、組織的・継続的に社会的課題の解決に取り組む「市民活動」とはほんの少し異なりますが、市民活動団体にとって「ボランティア」は運営に欠かせない、とても大切な存在です。

組織形態はいろいろ

市民活動の組織には、任意団体、NPO法人、公益法人など様々な形態があります。法人格の有無にかかわらず、市民活動を行う団体を指してNPOと呼ぶ場合も多いです。NPOは、 Non-Profit Organizationの略称で、「民間非営利組織」と訳されます。広い意味では、社会的な利益(公益)のために活動する社会福祉法人や社団・財団法人、学校法人、生協や労働組合などもNPOに含まれます。自治会・町内会など地域に根ざした活動も含みます。

ボランティアの特徴である「無報酬性」とNPOの「非営利性」とは別のもの

「無報酬性」とは、個人が働いた対価としてお金(報酬)をもらわないことを意味します。しかし、活動に必要な交通費や材料費、活動中の食費などは、活動に伴う実費の範囲と考えられています。

一方、「非営利性」とは利益を上げてはいけないという意味ではなく、利益があがっても組織の構成員に分配しないで、活動目的を達成するための費用(人件費を含む)に充てるということです。

既存の枠にとらわれない自由な発想

自分のため、自分たちのためではなく社会みんなのために行う活動、と聞くと少し窮屈に感じられるかもしれませんが、義務でもなく誰からも強制されず自主的に行う市民活動は、行政や企業では対応できないことに果敢にチャレンジすることができる「自由な」活動でもあります。行政には公平・平等のルールがあり多種多様な市民のニーズすべてに応えることはできません。また、出資者(株主など)に還元するために利益を優先させなければならない企業には、社会から求められていることであっても利益につながらない事業を行うことは難しいのです。

独創的なアイデアで、ひとりひとりに向き合って多彩なサービスを提供できること、制度やしくみがない分野でも必要と思えば先駆的に取り組めること、そして、今までにない新しい価値を生み出せることは市民活動の大きな魅力です。

参考文献:

・NPO基礎講座[新版] 
編著者:山岡義典 発行:㈱ぎょうせい

・テキスト市民活動論-ボランティア・NPOの実践から学ぶ- 
編者:社会福祉法人大阪ボランティア協会 発行:社会福祉法人大阪ボランティア協会